メダカ飼育を始めたきっかけは、近所のホームセンターで偶然目にした小さな水槽でした。透明な容器の中で優雅に泳ぐ楊貴妃メダカの美しい朱色に心を奪われ、気がついたら店員さんに飼育方法を尋ねていました。まさか、その日が私の人生を変える日になるとは思いもしませんでした。
最初は本当に何も知らない状態からのスタートでした。小さなプラスチック容器に水を入れて、メダカを3匹飼うことから始まりました。毎朝エサをあげる時間が楽しみで、出勤前の忙しい時間でも必ずメダカの様子を確認していました。彼らの小さな口がパクパクと動く姿は、一日の疲れを癒してくれる特別な時間でした。慣れてくると、私の顔を見ると水面近くに寄ってくるようになり、まるでペットの犬のような愛らしさを感じました。
飼育を始めて3ヶ月ほど経った頃、初めて産卵を目撃しました。雌のお腹に小さな透明な卵がぶら下がっている姿を発見した時の驚きと感動は今でも忘れられません。慌ててインターネットで調べ、卵を別容器に移して大切に管理しました。10日ほどして小さな稚魚が孵化した瞬間は、まさに生命の神秘を目の当たりにした体験でした。針のように細い稚魚が少しずつ成長していく過程を毎日観察することで、命の尊さを改めて実感しました。
メダカの魅力にすっかりはまった私は、さらに多くの品種を飼いたくなりました。みゆきメダカの背中に光る青白い輝き、ラメメダカの宝石のような美しさ、それぞれに異なる個性と美しさがありました。亀田養魚のような専門業者から高品質な個体を購入し、飼育環境も徐々にグレードアップしていきました。気がつくと、ベランダには大小様々な容器が並び、まるで小さな養魚場のような状態になっていました。
今では、メダカ飼育が私の生活に欠かせない一部となっています。仕事で疲れた時も、メダカたちの穏やかな泳ぎを見ていると心が落ち着きます。小さな命と向き合う時間は、忙しい現代社会の中で貴重な癒しの時間となっています。これからも彼らと一緒に季節を感じながら、この素晴らしい趣味を続けていきたいと思います。