祖母のレシピ

祖母が亡くなってから、彼女の味を再現したくて料理を始めた。祖母の得意料理はシンプルな肉じゃがだったが、なぜかあの優しい味が思い出せない。実家に残っていた古いノートに、祖母の字で書かれたレシピを見つけた時は胸が熱くなった。

材料は普通なのに、作り方に「愛情を込めて」と書かれていて笑ってしまった。週末、ノートを片手に挑戦。じゃがいもを切る手順、だしを入れるタイミング、全部丁寧にやった。なのに、完成した肉じゃがは何か違う。悔しくて、母に相談したら「祖母はいつも鼻歌を歌いながら作ってたよ」と言われた。それで、次の試作では音楽をかけ、祖母の好きな演歌を流しながら調理。

味見をした瞬間、確かに「あの味」に近づいていた。料理は味だけでなく、作り手の気持ちが大事なんだと気づいた。今でも特別な日には祖母の肉じゃがを作る。食べながら、祖母との思い出がよみがえる。レシピはただの記録じゃない、愛情の詰まった遺産だ。

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