私が小さなカフェを夫と一緒に開業したのは5年前です。夢だったお店は順調に軌道に乗り、常連さんも増えました。しかし、毎年訪れる確定申告の時期だけは憂鬱でした。売上はレジで管理できても、仕入れや人件費、光熱費の領収書が山のように溜まり、夜な夜な夫婦で整理する日々が続きました。確定申告の知識はゼロに近く、国税庁のパンフレットを読みながら途方に暮れたのを覚えています。
最初の年は白色申告を選びました。帳簿はシンプルでしたが、経費の判断が曖昧で、プライベートと事業の境目が曖昧でした。コーヒー豆の仕入れは明確でも、店舗兼自宅の家賃や電気代の按分計算に頭を悩ませました。ふるさと納税の控除も申請したかったのですが、寄付金控除の書類を揃えるだけで一苦労。期限間近に税務署へ駆け込み、窓口で指導を受けながら何とか提出しました。納税額を見て驚き、もっと節税できたはずだと悔やみました。
2年目は青色申告に挑戦しました。65万円控除に魅力を感じましたが、複式簿記の帳簿付けが想像以上に大変でした。開店前の早朝や閉店後の深夜、夫婦でパソコンに向かい、仕訳を入力します。夫は数字が苦手で、私が主導しましたが、減価償却や棚卸資産の評価で意見が対立しました。喧嘩になりかけたこともありましたが、協力して乗り越えました。e-Taxを導入し、オンライン申告に成功した時は、夫とハイタッチしたのを覚えています。
3年目、事業が拡大しアルバイトを雇ったことで、人件費や社会保険の処理が複雑になりました。消費税の課税事業者になったのもこの頃です。インボイス制度の対応も迫られ、頭がパンクしそうでした。家族経営の限界を感じ、決算・確定申告に強い格安税理士に助けを求めることにしました。相談すると、過去の申告書をチェックし、無駄な経費計上を指摘してくれました。新たな控除の提案で、数十万円の節税になりました。税理士のアドバイスで、設備投資を計画的に行い、即時償却を活用しました。
この経験で、確定申告は単なる義務ではなく、経営を見直す機会だと気づきました。夫婦のチームワークも強まり、家族の絆が深まりました。カフェの味だけでなく、健全な経営がお客様の信頼につながっています。確定申告に悩む方は、早めにプロを頼ってください。私のように、苦労が実を結ぶ日が来ます。夢を叶えるため、正しい申告を続けましょう。
